在校生の声

のぐち たくりゅう野口 琢竜さん 2020年度【長期課程】在校生 出身地:熊本県阿蘇市

ここで学んだことを活かし 全国でも活躍できる林業マンを目指す

運動が大好きで、小学生のころから剣道に打ち込んでいた野口さん。「将来は体を使った仕事がしたい」と考え、高校は県立阿蘇中央高校グリーン環境科に進学しました。高校3年時の進路選択に際して、先生から「今まで得た知識をさらに深めることができ、林業に必要な資格全般を取得できる」との理由でくまもと林業大学校を勧められ、入校を志望しました。

くまもと林業大学校の長期課程は、1年の研修期間中に森林・林業の役割や木の名前、樹木の見分け方、伐採届などの規制等について座学で学べます。また、林業の現場に必要な資格取得はもちろんのこと、刈払機やチェーンソー、プロセッサなどの高性能林業機械の操作方法も実習を通して、しっかりと技術を身に付けることができます。幅広いカリキュラムの中で、特に野口さんが力を入れているのはチェーンソーを使った実習。さまざまな伐倒方法や(木を)狙った方向に倒す技術の習得に面白さを感じていて、「どうやったら上手く倒せるか、自分で工夫するのが楽しい」と魅力を話します。

くまもと林業大学校で学ぶ傍ら、地元・阿蘇市で植林のアルバイトも行っている野口さん。その作業を通じて、林業の奥深さや必要性を実感しています。卒業後は、「くまもと林業大学校で学んだことを活かし、地元林業の発展に貢献しながら、全国でも活躍できる林業マンになりたい!」と、夢を思い描いています。

しまだ みわ嶋田 美和さん 2020年度【長期課程】在校生 出身地:熊本県人吉市

夢は親子で林業に携わること 自分が育てた木を息子に切ってほしい

以前は美容師で、結婚後は主婦をしながら夫が営む林業会社の事務作業を手伝っていた嶋田さん。時折足を運んでいた伐採現場で、見かけない機械や道具が並ぶ光景に「ちょっと興味があった」と話します。くまもと林業大学校への入校を考えたのは、人手が足りない時などに現場を手伝ううち、「自分ももっと作業ができれば力になれるのに」との思いが強くなったことがきっかけ。現在は、五木村にある県南校で、新規就業希望者向けの長期課程に通いながら技術習得に励んでいます。

1年間にわたる長期課程では、林業の基礎から必要な資格取得、ICTなどの最新技術の習得まで、林業で自立・定着するための知識と技術を、座学と実習で学びます。入校当初は、「チェーンソーが怖くて苦手だった」と話す嶋田さん。しかし、実習を重ねてチェーンソーの技術に触れるうちに克服。「実習先の各事業体の良い部分や自分に合う部分を吸収でき、スキルアップにつながった」と振り返ります。

入校前は、「林業は木を伐って売るだけの仕事」と思っていましたが、植え付けや下刈り、枝打ち、間伐といった「造林・育林」に関わる面を知り、長い年月をかけて山林を守り・育てていく林業の奥深さに魅力を感じています。「一から覚えることが多くて大変」と話す嶋田さんですが、卒業後は夫の会社で林業に従事し、息子にも林業の道に進んでもらいたいと願っています。「私が育てた木を、将来息子が切ってくれたら」と微笑みます。

卒業生の声

かすや よしのすけ糟谷 義之輔さん 2019年度【長期課程】卒業生 出身地: 兵庫県明石市

くまもと林業大学校で一から学んで 憧れだった林業の道へ進む

林業機械の整備や修理の仕事をしている父に、子どもの頃からよく山に連れて行ってもらっていたという糟谷さん。そこで見た、細心の注意を払いながら樹木を伐倒(ばっとう)する人のかっこ良さや自然を守る姿に憧れ、林業の道を志しました。

高校卒業後、すぐに林業関係への就職を考えたものの、「しっかり基礎を学んでから」と思い直しくまもと林業大学校へ。さまざまなカリキュラムがある中、座学では危険な作業である伐倒の安全対策をしっかりと学べるほか、最新機械や技術、チェーンソーや刈払機の使用方法、重機免許などの資格取得のための勉強もあります。また、「実習を通じて、第一線で活躍する人の高度な技術に触れ、各事業体の特色を知ることができる」のも貴重な経験です。加えて、同じ道を志す仲間と共に学べる日々が何より有意義と感じています。

そうした学びを踏まえ、「森林には土砂災害の防止や水資源のかん養など多くの機能があり、それを管理し守るのも林業の大きな役割」と話す糟谷さん。そして、「いつか次世代をリードする経営者になり、地元の自然を守っていきたい」と意気込みます。

とくなが みつき德永 満貴さん 2019年度【長期課程】卒業生 出身地:熊本県熊本市

くまもと林業大学校で学べたことが 今の充実した毎日への出発点です

狩猟免許を取得して山林へ足を運ぶ機会が増えた德永さん。「もっと山のことを知りたい!」との思いが高じて、長年勤めた飲食業から林業への転身を志しました。しかし、その当時は林業経験がなく、なかなか希望する林業事業体が見つからず林業への就業を諦めかけていました。そんな時に「くまもと林業大学校」を知り、平成31年(2019年)4月に入校しました。さらに、林業大学校の休みを利用し、小国町森林組合の見学に何度か訪れる中で就業を決意。卒業と同時に同組合に就業しました。

現在、德永さんは同組合の森林整備課に所属。伐倒作業や造材、積み込み、運搬などの仕事を任されています。日々の作業では機械操作や運転が不可欠ですが、働きながらの資格取得は難しいため、「くまもと林業大学校で集中して資格が取れて良かった」と実感しています。当時の資料は、今も度々見返したりして現場作業に生かし、スキルアップに努めています。また、くまもと林業大学校で一緒に学んだ仲間とも連絡を取り合っていて、仕事やプライベートについて話せるかけがえのない存在。「お互い刺激し合うことが仕事のモチベーションになっている」と話します。

「(林業は)好きで選んだ仕事なのでやりがいが大きい」と充実した毎日を送る德永さん。「小国町の豊かな森林資源を次世代へ伝える」との思いを胸に、山の資源を生かせる林業人を目指して木々と向き合っています。

上司からの一言 小国町森林組合

基礎を学んだ卒業生は、すぐに現場で力を発揮

小国町森林組合では37名の職員が働き、同町一帯で森林調査や伐木搬出、造林、木工販売などを行っています。德永さんは森林整備課に所属し、管内で先輩職員と共に伐木作業などに従事しています。着任初日から現場で力を発揮していて、今も着実に経験を積んでいます。林業の現場では、事故の危険性などもあることから未経験者の雇用は難しく、くまもと林業大学校でしっかりと基礎を学んでから事業体に来てもらえるのは非常に助かります。当組合では、今後も新たな林業担い手を増やす予定なので、德永さんには後輩の指導はもちろん、後に続く人の目標となる林業人に育ってもらいたいです。

穴井 喜一郎さん(写真右)・原山 尊吉さん(写真左)

あおき たかし青木 隆さん 2015年度【長期研修】卒業生 出身地: 群馬県

森、川、海へと循環する自然 自分の役目はキレイな森を作ること

群馬県出身の青木さんが、地元から遠く離れた阿蘇で林業の仕事に就いて早5年。群馬から屋久島を目指すバイク旅の途中で、南阿蘇村で林業をしている知人を訪ねたことが、この仕事を選ぶきっかけとなりました。さらに旅を続けるうち、妻・美和さんとの運命的な出会いがあり、2人で熊本への移住を決意。そこで、植林など森に携わるアルバイトを経験する中で、益々林業への興味をかき立てられ、林業大学校の前身である長期研修で1年を掛かけて技術を習得しました。その後、現在の職場である梅本林業に就職。

「木の状態、天候、地形などによって木の切り方も違います。その時々で技術を高めながら、思い描いたとおり伐木できた時の爽快感がたまりません」と、自身の仕事を熱く語る青木さん。林業は、チェーンソーなどを扱うため、常に危険と隣り合わせの仕事ですが、近年はウエアや靴の性能向上で安全性も高まっています。さらに青木さんは、「AI搭載のショベルなども登場し、将来的に林業の仕事が大きく変わっていく」と予想。今後一層、林業担い手が減少・高齢化する中、「若い人たちと林業を盛り上げていきたい」と意欲的です。

木を伐ることで森がきれいになり、川、海へと循環していく。 青木さん一家は、そのサイクルの中に身を置きながら、里山での暮らしを楽しんでいます。

上司からの一言 梅本林業

現場を任せられる林業者に成長 後輩社員の指導にも期待します

弊社は社員7名で、阿蘇市郡内や菊池市で造林や伐木などを行っています。青木さんは当初、アルバイトとして弊社で働いていました。「くまもと緑の新規就業支援研修」の長期研修(くまもと林業大学校の前身)修了後、本人の希望もあり、そのまま社員として受け入れることにしました。入社に当たっては国の「緑の雇用」事業を活用。手続きや慣れない申請書類の提出は大変でしたが、今では現場を任せられるまでに育ってくれ、当時の苦労も笑い話です。青木さんは今年、現場の管理・責任を担う「フォレストリーダー」の資格を取得できます。後輩も3名いるので、今後は若手の指導を期待しています。

梅本 奈麻美さん(写真右)・梅本 雅義さん(写真左)

くにたけ ともひと國武 智仁さん 2013年度【長期研修】卒業生 出身地: 熊本県菊池市

これからの林業は伸びしろだらけ 目指すのは「森のデザイナー」

「國武林業」の若き社長・國武さん。かつての夢はカフェを営むことでしたが、現在は「山の仕事が楽しい!」と人懐っこい笑顔を見せます。國武さんが林業の道に進んだきっかけは、母・信子さんの手伝いで木の伐採をしていた時、そのセンスに目を付けた母の師匠から「お前には林業しかない」と強く説得されたことでした。國武さんはその後、師匠からの指導を受け、2016年に母と共同で同社を立ち上げました。

伐採の仕事は、木の状態や天候によって一つとして同じ現場はなく、「知恵と技術をフル稼働する林業の仕事が面白くてたまらない」と國武さん。現在は、御船地域を中心に森林での作業や、高度な技術が必要な特殊伐採などを行っています。林業は、きつい仕事だからこそ、モットーに掲げるのは「前向きにとにかく楽しむ」こと。新たな手法や先進技術を取り入れることで安全性も生産性も高まる林業の“伸びしろ”に期待し、自ら「森のデザイナー」となって、持続可能な林業を目指したいと意気込みます。